土井正興『新版スパルタクスの蜂起』

 本書は、共和制末期ローマの大奴隷反乱=スパルタクス蜂起の内容や性格を解明しつつ、この奴隷反乱がローマ史上に占めた歴史的役割を論じたものであり、前近代社会の階級闘争史では最も魅力ある著書の一つである。奴隷制社会としてのローマが抱えている矛盾が生々と簡明な文章で叙述され反乱の社会的背景が浮き彫りにされると同時に、反乱のプロセスと結果の分析によって、スパルタクス蜂起がめざした奴隷解放の新しい方法、奴隷がかかえていた内部矛盾と敗北の原因、蜂起が残した世界史的・思想史的意義などがわかりやすく論じられている。歴史における民衆ないし被抑圧大衆の役割を明らかにしようとする著者の一貫した意図が、抽象的な理論としてではなく歴史の具体的な分析と叙述のなかに執拗に貫かれており、さわやかな感動をうんでいる。西洋古代史に関心を持つ人に限らず、広く歴史学を研究するものに一読をすすめたい。a0239911_2391238.jpg
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by kawa0201jp | 2012-01-14 23:05 | 読書メモ


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